争点の記事一覧

トータルサービス事件 – 8 :当裁判所の判断(過失相殺)について・結論

3 争点(1)イ (過失相殺)について
上記2(1)の被告の不法行為の内容からすれば,原告が原告補助参加人に対し,契約関係の有無を直接確認せず,工事着工確認書の担当者欄にTの署名があったことを特段問題としなかったなどの事情があるとしても,当事者の公平の観点から過失相殺する必要があるとは認められない。

4 争点(2)(請負契約の成否)について
被告の原告に対する不法行為の成立と原告と被告との間の請負契約の成立は両立しないことから,上記2のとおり,被告に不法行為が成立する以上,争点(2)については判断するまでもない。

5 結論
以上によれば,原告の請求は,主位的請求のうち1907万9150円及びこれに対する不法行為後の平成23年2月7日から支払済みまで民法所定の年5分の遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却し,訴訟費用は,民事訴訟法64条ただし書,61条により,被告の負担とする。
東京地方裁判所民事第42部
裁判官樋口真貴子

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トータルサービス事件 – 7 :当裁判所の判断(不法行為の成否)に対する判断

2争点(1)ア (不法行為の成否)に対する判断
(1) 不法行為の成否
本件において,被告は,上記1(2)のとおり,本件元請契約における本件物件の浴槽コーティング工事を過小に見積もったことから,施主である株式会社Tが要求するカウンター部分及びエプロン部分のコーティング工事も施工すると赤字を余儀なくされる状況にあり,赤字を回避するためには,被告は,原告補助参加人から追加工事として別途代金の支払を受けるか,被告と原告補助参加人との間の本件元請契約の浴槽工事部分を解除し,本件浴槽工事を原告と原告補助参加人との直接契約としてもらうか,本件改修工事全体の中で原告補助参加人に工事内容を変更してもらうなどしてコストを抑える必要があったと認められる。
しかし,Tは,本件改修工事の工期が迫っていたことから,上記問題を解決せず,原告補助参加人から本件浴槽工事を含めて本件改修工事全体を請け負った状態のまま,原告にそれを告げず,見積書及び工事着工確認書の宛先を原告補助参加人と記載させるなど,あたかも本件浴槽工事の発注者は原告補助参加人であるかのような言動をとったことが認められる。
そして,上記1(3)のとおり,原告は,Tの上記言動により,本件浴槽工事の発注者は原告補助参加人であると信じて,本件浴槽工事を完成させ,これを被告又は原告補助参加人に引き渡したにもかかわらず,被告及び原告補助参加人のどちらからも代金の支払を受けることができなかったことが認められる。
そうすると,上記Tの言動は,原告の権利を侵害する違法な行為というべきであり,これらは,本件元請契約内容及び被告と下請業者との間の契約内容を把握し,Tから適宜報告を受けていた被告代表者も認識していたと認めるのが相当である。
したがって,被告には不法行為が成立する。

(2) 損害
以上によれば,原告は,被告の不法行為によって,本件浴槽工事の代金相当額である1734万9150円を受けられなかったことが認められる。また,原告が請求する弁護士報酬のうち,1734万9150円の1割に相当する173万円(1万円未満四捨五入)は,被告の不法行為と相当因果関係を有する損害と認めるのが相当である。
したがって,被告の不法行為により,原告は,1907万円9150円の損害を受けたと認められる。なお,不法行為による損害賠償請求権は,商行為によって生じた債権ではないから,遅延損害金の利率において商法514条適用するのは相当ではない。

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トータルサービス事件 – 5 :当事者(被告)の主張

(被告の主張)
被告は,原告を欺罔していない。
被告は,原告補助人から浴槽本体のみのコーティング工事を含む本件物件の改修工事を請け負ったが,原告補助参加人がエプロン及びカウンター部分を含む本件浴槽工事を原告に直接発注することになったことから,被告と原告補助参加人との間の請負契約のうち,原告が原告補助参加人から直接請け負った本件物件の浴槽本体のコーティング工事の請負部分を解除した。原告補助参加人は,■■■■の工事及び■■■■の工事でも,同様の方法により,原告に直接発注した。
したがって,被告は,本件浴槽工事の請負契約は,原告と原告補助参加人との間の契約であると認識していたことから,被告が原告を欺罔したということはないし,それについて過失もない。

(2) 争点(1)イ (過失相殺の適否)について
(被告の主張)
原告は,原告補助参加人とは10年ほど前から付き合いがあり,工事着工確認書(甲4,9)の下段には,発注者の社名及び住所の記載がなく,Tの署名しかなかったのであるから,原告補助参加人に発注者を確認することが容易にできたはずである。
したがって,仮に,被告に不法行為が成立するとしても,その確認を怠った原告には重大な過失があることから,大幅な過失相殺をすべきである。
(原告の主張)
原告は,工期が迫った中で,被告の極めて巧みな欺罔行為によって発注者が原告補助参加人であると誤解させられらのであり,原告はこれを疑うことはできなかったし,発注者を確認する義務もない。また,本件現場事務所には,常に被告の従業員であるTが待機しており,原告補助参加人に確認することはできなかった。

(3) 争点(2) (原告を被告の間の請負契約の成否と及びその内容)について
(原告の主張)
万が一,被告の不法行為が認められない場合には,原告と被告の間において,本件浴槽工事の請負契約が成立しているというべきである。
(原告補助参加人の主張)
原告補助参加人は,原告に対し,本件浴槽工事を発注したことはないし,浴槽及びエプロン部分のみのコーティング工事を発注したこともない。
原告補助参加人は,本件物件の改修工事に関し,浴槽のエプロン及びカウンター部分を含む浴槽のコーティング工事を被告に発注した。原告は,被告からの発注により本件浴槽工事を行ったのであるから,本件浴槽工事の代金は被告が支払うべきである。
(被告の主張)
被告は,原告との間で本件浴槽工事の請負契約を締結したことはない。
原告はこれまで被告と契約を締結したという認識はなかったことを前提とした主張をしていたのであり,原告の予備的主張はこれまでの主張と矛盾している。

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トータルサービス事件 – 4 :当事者(原告)の主張

3 当事者の主張
(1) 争点(1)ア (不法行為の成否)について
(原告の主張)
ア 被告は,本件浴槽工事代金の支払いを免れるために,本件浴槽工事の発注者は原告補助参加人であると装い,原告に本件浴槽工事を施工させた。
すなわち,被告は,本件物件のエプロン部分及びカウンター部分を含む浴槽のコーティング工事を原告補助参加人から請け負っていたにもかかわらず,被告の従業員であるT (以下「T」という)は,平成22年10月20日ころ,原告の従業員であるN (以下「N」という。)に対し,本件物件の浴槽コーティング工事を依頼した上,発注者は原告補助参加人となる予定であり,見積書は原告補助参加人宛てに出して欲しいと述べた。それを受けたNが本件物件の改修工事の現場事務所(以下「本件現場事務所」という。)に見積書(甲2,3)を持参すると,Tは,原告補助参加人の従業員であるU (以下「U」という。)の指示であるとして,1基当たりの代金の減額を求めた。さらに,Tは,同月23日に原告が本件物件の浴槽130基分のコーティング工事を引き受ける際に,Nに対し,発注者は原告補助参加人である,工事着工確認書は原告補助参加人宛で作成し,本件現場事務所に出してほしい,これについてはUからの了解を得ていると述べた(甲4,6)。
また,原告が同月31日に71基分を完成させたところで,被告は,Tを通じて,原告に対し,残りの59基分に加えて11基分を追加発注し,さらに,同年11月8日ころに43基分,同月25日ころに25基分の浴槽コーティング工事,同月15日から同22日までの間に点検口4口の修理工事をそれぞれ発注したが,その際にも,発注者は原告補助参加人であり,Uの了解を得ていると述べた。

イ 本件浴槽工事の代金は,1基当たり7万9000万円(消費税抜),点検口の補修の代金は,1口当たり3000円(消費税抜)であり,これらの代金の支払を受けられなかったことにより,原告は,合計1734万9150円(消費税込)の損害を受けた。
また,原告は,被告の不法行為により,本訴提起することになり,弁護士費用として180万円の支払を余儀なくされ,同額相当の損害を受けた。

ウ 仮に,被告が故意によって原告を騙したのではないとしても,被告は,自ら原告補助参加人から本件浴槽工事の発注を受けており,原告補助参加人が原告に発注するはずがないことを知りながら,原告補助参加人宛の見積書を作成するように原告に指示するなど,被告には,原告が発注者を誤信したことについて過失がある。
(原告補助参加人の主張)
原告補助参加人は,エプロン部分及びカウンター部分を含む浴槽のコーティング工事を被告に発注しており,原告補助参加人が原告に発注したことはない。Uは,原告から見積書を受け取ったことはないし,減額を要求したこともない。

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トータルサービス事 – 3 :事実及び理由・争点

2 争点
(1) 主位的請求に関し
ア 不法行為の成否
被告は,故意に本件浴槽工事の発注者は原告補助参加人であるかのように装って,原告に本件浴槽工事を施工させたか。または,被告は原告補助参加人から本件浴槽工事を含む本件物件の改修工事を一括で請け負っており,原告補助参加人が本件浴槽工事を原告に発注するはずがないことを知りながら,過失によりそれを原告に知らせず,本件浴槽工事を施工させたか。

イ 過失相殺の適否
(2) 予備的請求に関し
原告と被告との間の本件浴槽工事の請負契約の成否

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