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トータルサービス事件 – 7 :当裁判所の判断(不法行為の成否)に対する判断

2争点(1)ア (不法行為の成否)に対する判断
(1) 不法行為の成否
本件において,被告は,上記1(2)のとおり,本件元請契約における本件物件の浴槽コーティング工事を過小に見積もったことから,施主である株式会社Tが要求するカウンター部分及びエプロン部分のコーティング工事も施工すると赤字を余儀なくされる状況にあり,赤字を回避するためには,被告は,原告補助参加人から追加工事として別途代金の支払を受けるか,被告と原告補助参加人との間の本件元請契約の浴槽工事部分を解除し,本件浴槽工事を原告と原告補助参加人との直接契約としてもらうか,本件改修工事全体の中で原告補助参加人に工事内容を変更してもらうなどしてコストを抑える必要があったと認められる。
しかし,Tは,本件改修工事の工期が迫っていたことから,上記問題を解決せず,原告補助参加人から本件浴槽工事を含めて本件改修工事全体を請け負った状態のまま,原告にそれを告げず,見積書及び工事着工確認書の宛先を原告補助参加人と記載させるなど,あたかも本件浴槽工事の発注者は原告補助参加人であるかのような言動をとったことが認められる。
そして,上記1(3)のとおり,原告は,Tの上記言動により,本件浴槽工事の発注者は原告補助参加人であると信じて,本件浴槽工事を完成させ,これを被告又は原告補助参加人に引き渡したにもかかわらず,被告及び原告補助参加人のどちらからも代金の支払を受けることができなかったことが認められる。
そうすると,上記Tの言動は,原告の権利を侵害する違法な行為というべきであり,これらは,本件元請契約内容及び被告と下請業者との間の契約内容を把握し,Tから適宜報告を受けていた被告代表者も認識していたと認めるのが相当である。
したがって,被告には不法行為が成立する。

(2) 損害
以上によれば,原告は,被告の不法行為によって,本件浴槽工事の代金相当額である1734万9150円を受けられなかったことが認められる。また,原告が請求する弁護士報酬のうち,1734万9150円の1割に相当する173万円(1万円未満四捨五入)は,被告の不法行為と相当因果関係を有する損害と認めるのが相当である。
したがって,被告の不法行為により,原告は,1907万円9150円の損害を受けたと認められる。なお,不法行為による損害賠償請求権は,商行為によって生じた債権ではないから,遅延損害金の利率において商法514条適用するのは相当ではない。

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